池田牧場|北海道・道北・浜頓別|Ikeda Farm

池田牧場としての取り組み

土-土壌に対する取組みと考え方

本格的に放牧を行うようになり、最初に「土作り」から着手しました。「土→草→牛→土」の自然サイクルにおいて基本となるのは「土」であり、「良い土」から「良い草」が育ち、「健康な牛」へと繋がります。「良い土」とは、生物多様性が保たれ、土壌微生物の活動が活発な土壌と位置づけております。
池田牧場の位置する土壌は、90%以上が泥炭地で、放牧を創めた頃は泥濘の箇所も多々ありました。泥炭地は、水はけが悪く、寒冷気候の中、長い年月をかけて草木が腐敗・分解されずに体積されている土壌で、明渠の整備が不可欠でした。更に土壌中に空気が入り込むよう、専用の機械を使用して施工し、微生物が活動しやすい環境を構築しました。その後、土壌分析を下に土壌中の成分バランスを整え、牧草が育ち、維持出来る土を構築し、同時に生物多様性が向上し、土壌中の生物が活発になる土作りを目指してきました。これらの取組みが功をなし、現在では団粒構造の形成された土壌となり、ミミズをはじめとした土壌生物の活動が盛んな土となりました。これらの働きにより牛の糞が自然に分解され、牧草の栄養と生育に必要な栄養源となる自然サイクルを形成してきました。
今後は、土壌成分分析の下に土壌成分バランスを保ち、必要に応じて水はけの整備を行いながら、更なる「良い土」の向上に向けた取り組みを行います。

草-ペレニアルライグラスとの出会い

放牧酪農の盛んなニュージーランドでは、多くの農家が活用している「ペレニアルライグラス」は、池田牧場が本格的に放牧を創めた頃は、天北農業試験場(現上川農業試験場天北支場)にて現場導入に向け様々な試験を行っており、当時は国内ではどの農場も「ペレニアルライグラス」の導入・採用は行っておりませんでした。「ペレニアルライグラス」は、様々な牧草の品種の中でも栄養価が高いのですが、当時はイネ科牧草としては「オーチャード」と「チモシー」が主体であり、あまり認知もされておりませんでした。
「ペレニアルライグラス」は、栄養価が高いだけではなく、道北のような寒冷地の気候に適しており、生育・伸長の速さが他の牧草に比べ優れており、永続性に優れているため放牧を行う上で非常に適した牧草でした。
池田牧場では「ペレニアルライグラス」をいち早く現場に導入し、放牧地では、「ペレニアルライグラス」と「シロクローバー」を基本として「ペレニアルライグラス」と「シロクローバー」の割合を3:1程を目安としております。マメ科の「シロクローバー」の空気中の窒素固定を期待し、化成肥料の使用は土壌バランスを保つ上での最低限と考えております。
今後は、「ペレニアルライグラス」を冬期間中の収穫用牧草へ利用出来る形の構築を行い、現在使用している「オーチャード」と「チモシー」との併用に向けて少しずつ取り組んでおります。牛の餌を牧草主体とし、牛の健康増進を行ってまいります。

牛-乳牛の生産量(乳量)重視から健康重視へ

本格的に放牧を行う前の池田牧場は、購入飼料である穀物多給の生産量重視の飼養管理を行っておりましいた。当時、現在より穀物市場では価格が安価で、かつ給与量に対し生産量が増産出来き、収益性も高い事もありました。しかし、穀物を多給し乳生産の増産を行うにつれて、牛の疾病も多くなりました。疾病が増える事で、牛の健康が乱れ、牛飼いを行う上で手間が増え労働時間が長くなり、収益性も次第に悪くなりました。その頃のニュージーランド視察研修をきっかけに本格的に放牧を行うようになり、牛の生産量重視から健康重視へ切り替わりました。
牛の健康を重視し、牛本来の在り方を見つめ直し、同時に季節に応じた飼養管理を行いう事で牛の疾病率はみるみる減少し、牛の健康が保たれるにつれて収益性と労働時間が見違えるように改善されました。また、家畜改良(種の選定)を放牧システムに向くよう、生産量重視から足腰の強化などを優先し、育成牛の飼養管理も放牧システムに対応出来るよう、早期放牧をおこなってきました。
健康に牛を飼う事は、良質で機能性の高い生乳を生産し、美味しさと安全性をお客様へ届けられるようになると考えております。牛の健康増進の為、池田牧場では活性水の導入と家畜のプロバイオティクスも採用しております。
2014年の新畜舎建築を機に、牛1頭1頭をパソコン内にて数値化出来る事柄は記録し、牛の観察も行いながら健康管理を行っております。牛の治療や泌乳ステージを記録しながら、トレーサビリティに対しても可能な限り行っております。今後も継続と強化を行い、お客様へ安心して食して頂ける生乳生産に努めます。

製造・販売-「ゆたかさ」への挑戦と提供

池田牧場での開発・製造への考え方において、「放牧乳の表現」と「可能な限りの衛生・品質管理」をモットーとしております。「放牧乳の特徴」として、季節による生乳の風味の変化、ほのかに香る牧草の風味、雑味が少なく後味さわやかな風味などが挙げられます。また、食品機能性の面で抗酸化力をはじめ研究段階の事柄も多く、可能性も秘めております。
衛生・品質面においては、現在製造を行っている施設と設備を把握した上で、人為的に可能な範囲での衛生管理を行っております。製造記録、放牧乳の風味を損ね過ぎない殺菌温度と時間の徹底(主に低温殺菌法を採用)、機器・器具の殺菌など徹底し、製造毎に生菌検査を行い基準を満たした製品をお客様へお届けしております。こうした一連の取り組みを通じ、お客様へ「安心・安全な食」をお届けできると考え、お客様にとっての幸福な時間のお手伝いとなれると信じております。